『プライド』

先日、一条ゆかり大センセイの同名原作を元にした映画『プライド』を観てきました。
漫画の『プライド』は、寝る間が惜しくなるくらいおもろしろい、一条センセイ王道の火花飛び散る女と女の壮絶バトル。
もしまだ読んでなかったら今すぐ本屋かアマゾンかブックオフか漫画喫茶へGO!!
ゴージャスでエキセントリックなくらい激しく、ドロドロに恨みつらみ入り乱れる展開は一条漫画のお約束を裏切りません。
これぞまさに“一条ワールド”なのだ!



そんで、そんな愛憎劇漫画の女王に君臨する一条センセイの漫画家デビュー40周年を記念して、
一条作品初の映画化となったのがこの『プライド』。
つまりそのゆい内容を、実写で映像化してしまったんだけど…だいたい、漫画の映画化で成功するのは難しいのよね。
キャストのイメージに合う俳優がやってくれていればいいけど、そうでない場合が多い。
ではでは、今回のキャストをチェックしてみましょう〜


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●麻見史緒=ステファニー [△]
確かに縦巻きロールが似合うルックスはOK気味なんですが、、、角度によってはミスターレディ入ってます。
そして何と言っても致命的なのは、演技力が著しく乏しい・・・
史緒は超お嬢様なので発する言動が現実的でないのですが、その台詞と行動が変なテンポで浮いちゃってます。。


●緑川萌=満島ひかり [○○]
かなりOK範囲です。漫画のキャラのイメージに近い。
もちろん演技なんだけどが、、あの意地悪そうな笑みと口調に、屈折した性格の悪さが滲み出ていました。


池之端蘭丸=渡辺大 [×××]
これはナイです・・・
実際の蘭丸はハーフではないけど、フェミニンな魅力もあって女装もイケる痩せ形の美丈夫です。
ところが、、、どこからどう見てもいかついし、何かが違う。
肝心の女装シーンはギャグかと思うくらいゴッつくて、ありえない。
本来だったら、蘭丸を女性だと思っている人がいるくらい「お見事」でなければいけないのに・・・


●神野隆=及川光博 [△]
キャラクター的にはOKですが、、、実際の神野は30代です。
すでにアラフォーのミッチーはどうなんでしょうか・・・
史緒、萌、蘭丸と初々しい20代前半なので、バランス悪いですよね。。


池之端奈都子=高島礼子 [○○○]
バッチリOKです。
高級銀座クラブのママの貫禄、色気、文句なしです。



※あまり出番も多くないので、そんなに影響はないですがついでに

●麻美総一郎=ジョン・カビラ [△]
あんなにダンディでないです。
有閑倶楽部』の悠里のお父さん、剣菱万作みたく、普通のオッサンぽくていいのに。


●星野権三郎=長門裕之 [○]
バッチリOKです。


●緑川多美=キムラ緑子 [○○○]
バッチリOKです。
ああいう場末のスナックにいそうな、やさぐれた女やもめを演じさせたら、彼女の右に出る者はおりません。


●山本教授=由紀さおり [○]
バッチリOKです。


●松島春子=五大路子 [○]
バッチリOKです。


●東野さやか=黒川智花 [○]
アイドルチックなルックスと声でバッチリOKです。


●有森=新山千春 [○]
OKですが、巻き毛系のほうがもっと秘書有森ぽいです。


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監督は『デスノート』の金子修介監督。
ダレが撮っても変わらないような、、、なんの「らしさ」も見当たらなかったけど。
劇中でステファニーと満島ひかりが歌う「あなたと歌うと」を自ら作詞してしまったというのだから、、
それがやりたかったのでしょうか・・・



一条漫画ファンとしてはまだ未完の作品をやってしまったのだから、微妙です。
しかも126分というスパンに無理矢理いろいろ詰め込んでしまっているので、細かいエピソードが省かれて不完全燃焼気味。
キャラクターのバックグラウンドや性格の描き方が甘いし、「あれっ」てな展開もちらほら。
唯一、キャストが吹き替えでなくちゃんと歌っていることがエライです。
やはり歌手出身ということでステファニーも満島ひかりも声が出てるし、ハーモニーもなかなか。
あと原作読んでいると気になったのが、萌がラウンジで歌う歌が『島唄』でなかったこと!
映画しか観なかったら多分気にならないけどね。版権とかの問題なんだろうね。



非現実的な一条センセイの世界観はやはり漫画で楽しむが一番!
ですが、、、演技の下手さ(=フレッシュさ)とクサさ(=わかりやすさ)で
ソープオペラみたいなチープ(=親しみやすい)な仕上がりの映画版『プライド』は、
漫画派にはツッコミ所満載である意味楽しめるのでは〜